演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

院内感染の現況と今後の課題

演題番号 : SY-12-2

原田 孝司:1、船越 哲:2

1:衆和会桜町病院 腎臓内科、2:衆和会桜町クリニック 内科

 

【目的】透析施設における院内感染の現況と今後院内感染として脅威となる感染症に関して総論的に解説する。 【結果・考察】院内感染は感染経路から血液媒介感染、接触感染、飛沫・空気感染に分けられる。1994年のHBV変異型の院内感染による劇症肝炎の死亡事故から、一部の透析施設において感染対策が十分になされていないことが判明した。その後もHBVおよびHCV感染のアウトブレイクの報告が続いた。これを契機に「透析医療における標準的な透析操作と院内感染予防に関するマニュアル」が刊行され、感染対策が遵守されるようになってきた。しかしながら、HCV陽性率・陽転化率は依然として高く、血液媒介院内感染は持続しているものと考えられる。接触感染で問題となるのが薬剤耐性菌であり、1990年頃よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が増加し、院内感染のアウトブレイクが問題となった。その後医療現場における耐性菌としてはバンコマイシン耐性腸球菌、多剤耐性緑膿菌、ペニシリン耐性肺炎球菌などによる院内感染が問題となっていたが、最近多剤耐性アシネトバクターによるアウトブレイクが報告された。器質拡張型βラクタマーゼやメタロβラクタマーゼなどの耐性獲得遺伝子が問題となっている。飛沫感染では新興感染症としての脅威として国際的には重症急性呼吸器症候群、高病原性インフルエンザH5N1があったが、2009年メキシコから全世界に広がった新型インフルエンザH1N1は国内での最初の死亡者は透析患者であった。空気感染としての結核症は一般的に先進国の中でも日本においては罹病率が高く、特に透析患者はハイリスク群であることより罹病率が高い。最近は多剤耐性結核菌や超多剤耐性結核菌が問題となってきている。空気感染対策としての陰圧空調室の設備は十分でなく院内集団感染が危惧される。 【結論】透析室における感染症のアウトブレイクと新たな耐性菌・ウイルスの院内感染が危惧されることより、今後標準予防策に加えてアクテイブサーベイランスおよびICTによる感染制御の取り組みが望まれる。

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