演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

増え続ける HIV 感染症に対する取組み

演題番号 : SY-12-7

日ノ下 文彦:1

1:(独)国立国際医療研究センター 腎臓内科

 

【はじめに】わが国の HIV 感染者数は増加傾向にあり、血液製剤による感染者を除く累計 HIV 感染者数(外国籍を含む)は15,000人以上に達している。しかも、antiretroviral therapy (ART) の進歩により HIV 陽性患者の生命予後が格段に改善した結果、HIV 感染症は不治の病ではなくなりある意味で身近な疾患 (common disease) になっている。 【HIV 感染者の CKD の実態】当センターで過去数年の間に腎生検した HIV 陽性症例13例の病理組織型を検討すると、5例が IgA 腎症で最も多く、腎硬化症が2例、古典的な HIVAN、紫斑病性腎炎 (HSP 腎炎)、糖尿病性腎症、膜性腎症、間質性腎炎、minor glomerular abnormality が各1例という結果であった。一般的に頻度の高い IgA 腎症が最も多く、腎硬化症や糖尿病性腎症など HIV 感染と直接的因果関係がない腎障害がわが国では多いものと推定された。788例を対象とした都立駒込病院の成績では、CKD と判定された HIV 陽性患者は 14.9% であり、高血圧と糖尿病の合併率がそれぞれ 55.4%、27.0% であった(感染症学雑誌 84:28-32, 2010)。 【HIV 感染患者の透析】欧米では HIV 陽性患者の透析は一般化しており、米国では全透析患者の 1.5%、フランス、スペインでもそれぞれ 0.67%、0.54% と報告されていて、わが国でも HIV 陽性維持透析患者がいずれ数十例以上に達するものと予想される。 【HIV 感染対策と今後の取組み】HIV 感染症の予後が改善したので、各透析施設とスタッフは HIV 感染症に対する理解を深め、偏見や誤解を払拭して、「HIV 感染患者透析医療ガイドライン」に基き粛々と HIV 感染患者の透析に取組んでいかなければならない。 【結語】HIV 感染患者の CKD について理解を深め、学会、透析医会、行政や関係諸施設は積極的に HIV 陽性患者の透析を推進していかねばならないし、HBV や HCV 感染患者同様、一般のサテライトでも HIV 感染者に維持透析ができるよう受入れ環境や体制を整備する必要がある。

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