演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

ビタミンDの腎保護作用と臨床的意義

演題番号 : SY-10-7

猪阪 善隆:1、松井 功:1、濱野 高行:1、楽木 宏実:1

1:大阪大学大学院 老年・腎臓内科学

 

CKD患者ではビタミンD(VitD)活性化障害のため、骨・ミネラル代謝異常を生じる事が古くから知られているが、腎障害によるVitD活性化障害自体が、腎病変をさらに進行させる悪循環を形成していることが近年明らかになりつつある。基礎研究においては、VitD受容体(VDR)ノックアウトマウスの腎ではレニン発現が上昇しており、活性型VitDはレニン転写を抑制する。また、糖尿病モデルマウスにおいて、VitDはアンギオテンシンII受容体拮抗薬投与による代償性レニン発現上昇を抑制することで、RAS阻害薬に相加的な治療効果を示す。一方、活性型VitDの存在下でVDRはp65 NF-κBと結合し、NF-κBによる炎症関連遺伝子の発現抑制を介して腎障害を抑制することが片側尿細管結紮モデルマウスにおいて示されている。臨床的にも、保存期腎不全患者に対するcalcitriol投与により、生命予後と透析導入の複合エンドポイント到達が有意に低くなることや、Paricalcitolが糖尿病性腎症における尿蛋白抑制作用と血圧低下作用を示すことも報告されている。ところが、我々が外来通院中のCKD患者で検討したところでは、25(OH)VitDレベルは、約8割が30ng/mL以下の不足状態にあり、骨塩定量のZ scoreに関与するのは、活性型VitDではなく25(OH)VitDである。本来、VDRを介した転写調節に関与するのは、活性型VitDであり、25(OH)Dの関与はほとんど無いと考えられているにも関わらず、同様のことが、心障害や腎障害についても観察される。ビタミンD製剤として何を投与すべきか、何を指標として治療すべきかなど、まだまだ課題は残されており、本シンポジウムでは、このような点について、我々の基礎研究・臨床研究をもとに議論したい。

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