演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

副甲状腺とPTH: Up to date

演題番号 : SY-10-5

深川 雅史:1、駒場 大峰:1

1:東海大学医学部内科学系 腎内分泌代謝内科

 

副甲状腺ホルモン(PTH)は,慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の病態形成に中心的役割を担っている。近年,この分子に関していくつかの重要な知見が得られている。  PTH分泌は,副甲状腺が細胞外カルシウム濃度や生体へのリン負荷を感知することによって調節されると考えられているが,近年さらに,新たなリン利尿因子であるFGF23もKlotho-FGF受容体を介してPTHを直接的に抑制することが明らかとなった。二次性副甲状腺機能亢進症を有するCKD患者では,副甲状腺のKlotho-FGF受容体の発現が低下するために,異常高値を示すFGF23によっても,PTH分泌は抑制されないと考えられている。  PTH分子は84個のアミノ酸からなるが,血中には断片化されたフラグメントも数多く存在する。そのため,副甲状腺機能を正確に評価するためには,完全体であるPTH(1-84)のみを測定することが重要となる。現在汎用されている第2世代intact PTHアッセイはPTH(7-84)フラグメントも認識するため,より特異性の高い第3世代アッセイの使用が検討されている。非常に特殊な症例では,第3世代アッセイでの測定値が第2世代アッセイよりも高くなる逆転現象が報告されており,第3世代アッセイでのみ認識される新規PTH分子の存在が明らかとなっている。  二次性副甲状腺機能亢進症に伴うPTH分泌を抑制する治療薬としては,シナカルセト塩酸塩が広く臨床に利用されている。この薬剤はカルシウム感知受容体に作用し,PTH分泌を直接的に抑制するとともに,同時に血清カルシウム,リン値も低下させることから,活性型ビタミンD治療では使用が制限されるような症例でも,内科的治療の継続が可能となる。さらに最近,シナカルセトは腫大腺を有する症例でも有効であることが示され,副甲状腺摘出術の代替療法となる可能性も示唆されている。  一方,PTHは治療薬としても期待されており,遺伝子組み換え技術によって精製されたテリパラチドPTH(1-34)は,骨粗鬆症の治療薬として有効であることが示されている。わが国でも市販が始まったばかりであるが,CKD患者の骨病変に対する意義は明らかでなく,その利用可能性については,今後さらなる検討が必要である。

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