演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

二次性副甲状腺機能亢進症発症機序の新たな考え方 ~Trade-off仮説の検証とFGF23の関与~

演題番号 : SY-10-4

永野 伸郎:1

1:協和発酵キリン(株) 薬理研究所

 

【はじめに】“腎機能が低下すると、何故、副甲状腺機能が亢進するのか?”という疑問に対し、Brickerは1972年にTrade-off仮説を提唱している。本仮説を薬理学的に検証するとともに、新規P利尿因子であるFGF23の関与を補足したい。 【Trade-off仮説】2°HPT発症機序は、“腎機能低下時にPTHが上昇することで、尿中P排泄が亢進し高P血症が回避されるものの、代謝性骨疾患の対価を払う”とするTrade-off仮説により説明される。血中Pの一過性上昇に引き続く血中Ca低下がPTH分泌を亢進させることで、血中PおよびCaは腎不全末期まで正常域で維持される。 【P吸着剤による検証】慢性腎不全ラットへセベラマー塩酸塩を投与し、高P血症を改善することで、亢進状態下にある副甲状腺機能の抑制が可能であり、Pの蓄積が2°HPTの根幹を成すことが確認できる。 【Calcimimeticsによる検証】シナカルセト塩酸塩により透析患者のPTHを低下させると、骨からのP動員の低下により、血中Pは低下する。一方、保存期慢性腎臓病患者へのシナカルセト塩酸塩の投与は、PTHの尿中P排泄促進作用を解除するため、血中Pを上昇させるとともに、著明な低Ca血症をもたらす。すなわち、腎機能低下時のPTH上昇は、高P血症および低Ca血症の回避という二役を担っていることが確認できる。 【FGF23の関与】腎機能低下に相関して、FGF23の血中値も上昇する。PTH高値、FGF23高値、1,25OH2D低値であり、かつ血中Pは正常値を呈する腎不全ラットへFGF23中和抗体を投与すると、亢進していた尿中P排泄の低下に伴い血中Pが上昇する。また、低下していた腎1α-OHase活性の亢進に伴い血中1,25OH2Dが上昇するとともに、血中Caの上昇に付随してPTHが低下する。本結果は、FGF23の上昇は尿中P排泄を促進させ、血中Pを正常域で維持していることを示す。また、慢性腎臓病早期からの1,25OH2D低下は、ネフロンマスの減少ではなくFGF23の上昇に起因することに加え、FGF23は1,25OH2D低下を介してPTH分泌に促進的に働いているものと推察される。 【Trade-off仮説の補足】血中P上昇とCa低下の間に、FGF23上昇およびそれに引き続く1,25OH2D低下を差し込むことで、本仮説を補足可能である。

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