演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

血管石灰化の発症機序とその評価

演題番号 : SY-10-3

根木 茂雄:1、大矢 昌樹:1、重松 隆:1

1:和歌山県立医科大学 腎臓内科・血液浄化センター

 

【背景】透析患者の死因の半数以上は心血管系合併症であり, 石灰化血管は透析患者の生命予後への影響因子である。透析患者では中膜が石灰化するメンケベルク型血管石灰化が特徴的で, リン過剰との関連が指摘されている。  【目的】血管石灰化の発症機序の実験的検討と臨床における石灰化血管の評価について検討した。 【方法】1) ラットの大動脈をもちいたin vitro培養実験において, 培養液中リン濃度の効果を検討し, 血管平滑筋細胞の骨芽細胞化への形質転換とアポトーシスの関与を検討した。2) 腎不全に伴う二次性副甲状腺機能亢進症に合併する血管石灰化病変における遺伝子発現を, in vivoにて5/6腎摘モデルラットmicro arrayを用いて検討した。3) アデニン誘発腎不全モデルラットにて, リン負荷を一定にして低蛋白食で飼育し, 血管石灰化の抑制を検討した。4 )我々が考案した血管石灰化部位のOn/Off12分割法による大動脈石灰化指数に, 面積概念を取り入れ腹部大動脈石灰化面積指数:aortic calcification area index(ACAI)を考案し, 137例のHD患者を対象として腹部大動脈石灰化進展に関与する因子を検討した。  【結果】1) 血管組織培養実験で高リン条件下培養で, Pit-1リン輸送体の関与で血管石灰化は促進したが, 骨芽細胞への形質転換は認められずアポトーシス促進の関与が示唆された。2) 二次性副甲状腺機能亢進症合併の血管石灰化病変の遺伝子発現でも骨芽細胞への形質転換を示唆する遺伝子発現は認めなかった。3)アデニンラットによる血管石灰化にて, 低蛋白食飼育により血中FGF-23濃度が約2倍と有意に上昇し血管石灰化が促進された。3) ACAI を用いた検討で, HD患者の血管石灰化高度例では年齢, 収縮期血圧, 血清Ca濃度, Lp(a)濃度が高かった。  【結語】 血管石灰化にはリン負荷・アポトーシス促進等が実験的に示唆されたが, 従来より報告されている血管平滑筋細胞の骨芽細胞様細胞への形質転換は今回再現されなかった。このため, 実験モデルによる血管石灰化機序はモデルにより多彩な可能性が示唆される。その一つにFGF23の関与も考えられる。またHD患者ではCTを用いたACAIは比較的容易で再現性も高く, 今後の臨床研究に有用と考えられる。

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