演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

血液透析濾過法の標準化にむけて

演題番号 : SY-3-4

政金 生人:1

1:矢吹嶋クリニック 腎臓内科

 

血液透析濾過法(HDF)は、拡散除去困難な中分子尿毒素を除去するために開発された。その後HDF治療の目的はβ2MGの積極的な除去になったが、現在のダイアライザの多くはβ2MGを透析で拡散除去する性能を有している。このような状況も反映してか、ボトルタイプHDFとオンラインHDF併せてもわずか5.7%の患者で治療されているだけであり、標準治療として確固とした位置を築いてはいない。本ワークショップでは、HDFが維持透析治療において標準治療となり得るかどうかを考察する。  現在のHDFの保険適応は非常に限定されており、透析困難症と透析アミロイド症である。この適応症はオンラインHDFが発展する以前の、ダイアライザの機能が今より格段に劣る時代の、しかもエビデンスに基づいて決定されたものではない。にもかかわらず我が国の医療行政の膠着とHDFの臨床効果に関する研究の遅延のため、HDF療法の臨床適応、保険診療への反映など遅遅としてすすまなかった。しかし2010年オンラインHDFが保険認可され、保険点数や医療機材などの問題はあるものの標準治療として発展普及が期待される。  一般的に物質除去効果を考えた場合、後希釈HDFの方が前希釈HDFより優れており、事実欧州では後希釈HDFがメインである。しかしながら我が国では、α1MGレベルの尿毒素除去をターゲットにしより細孔径の大きいダイアライザを用いた前希釈HDFがメインである。我々も前希釈HDFを広く施行してきた結果、HDに比したHDFの利点は低分子量蛋白尿毒素の除去にあるだけではなく、前希釈における小分子尿毒素と栄養素ロスのバランス、生体適合性の改善、血液希釈による蛋白結合性尿毒素の除去などの関与の方が重要ではないかと結論するに至った。HDFであるかどうかより、前希釈であるかどうかの方が重要であるということである。  HDFを標準治療として位置づけるかどうかは、HDFがHDに比して本当に治療効果の高い血液浄化療法であるかどうかがすべてであり、現時点ではオンライン前希釈HDFがその定義に合致している。この治療を標準治療にするためには、透析液作成の安全性の担保、保険点数の改善、使用機材の規制緩和などクリアすべき問題があり、前希釈HDFの利点とともに本セッションでまとめる。

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