演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

血液透析との併用療法による腹膜透析の新展開

演題番号 : SY-3-3

坂口 美佳:1、田中 久夫:1、長谷川 廣文:1

1:近畿大学医学部堺病院 腎臓内科

 

腹膜透析は1980年から本邦で保険適応となり,当時の血液透析に比べて中分子量物質などの除去にすぐれ,心血管系にも負担の少ない透析方法というコンセンサスが得られていた.しかしながら,自己管理が中心の治療であり,被嚢性腹膜硬化症を含めた合併症や,限られた治療期間,対応施設などの問題から,透析療法に占める割合は増加せず,2009年度の調査では全透析治療の中で3.4%となっている.本療法では透析液の中性化,従来の透析液よりも低浸透圧で長時間使用時の除水量を確保できるグルコースポリマー含有の透析液などが開発されたが,III型以上の透析膜使用による血液透析に比べてβ2-ミクログロブリンなど低分子蛋白の除去能が劣ることや,非生理的な透析液を使用し続けることによる腹膜の劣化など,現段階では改善し難い問題もある.しかしながら腹膜透析は残腎機能の保護に優れているという報告も多く,通院回数が少ないことや,穿刺の苦痛がない,束縛時間が少ない,急激な除水,浸透圧変化に伴う血圧や症状の変化が少ないことなど,様々な利点も挙げられる. 1996年に,腹膜透析から血液透析への橋渡しの治療として,木村と渡辺らにより開始された腹膜透析/血液透析併用療法(PD/HD併用療法)は,腹膜透析療法の短所を一部補うことが可能であり,また休息日を作ることによる腹膜保護作用も報告されている.この治療の標準的な施行方法は,週に1回血液透析を行い,その翌日~2日後から腹膜透析を再開する(週に計5~6日施行)というものである.現在腹膜透析中の患者の約20%がこのPD/HD併用療法を行っていると報告されている.この治療は,腎移植への移行が少なく長期透析を余儀なくされる本邦の透析状況にはマッチした治療と考えられるが,血液透析を併用することにより前述した腹膜透析の利点の一部を損なってしまうことも事実である.また併用療法により全身状態が安定している状況で,腹膜透析期間を無理に延長させて被嚢性腹膜硬化症発症の危険性を増加させないように注意が必要である. 本演題では,PD/HD併用療法の適応・方法などやQOLへの影響などに関して検討を行ない,今後の腹膜透析療法の展開について報告する.

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