演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

臓器移植法改正による腎移植の展開

演題番号 : SY-3-2

渕之上 昌平:1

1:東京女子医科大学 第3外科

 

腎移植は末期腎不全患者に対する腎代替療法として極めて有用なものとされている。近年免疫抑制薬や手術手技などの進歩により格段に成績の向上が得られている。わが国においては透析患者数に比べ腎移植患者数は極めて少なかったが、この成績の向上と共に近年移植数は徐々にではあるが増加傾向にある。2006年には腎移植件数は1,000例を超え(2006年末1,136例)2008年末には1,201例と微増している。しかしこの増加は主に生体腎移植の増加であり献腎移植数は年間約200例であった。 1997年10月に脳死移植法が施行されたが10年経過しても脳死下での臓器提供は年間10数件と低迷を続けていた。そのため法律の見直しがなされ改姓臓器移植法が2009年7月に成立し、2010年7月17日より施行された。改正案の改正内容は、「年齢を問わず、脳死を一律に人の死とし、本人の書面による意思表示の義務づけをやめて、本人の拒否がない限り家族の同意で提供できるようにする。」というもので15歳未満の方から臓器提供をうけることが可能となった。これに伴い脳死での提供数は増加傾向にあり昨年度は8月以降30例の脳死下での提供が行われている。このため心、肺、肝、膵腎同時移植数は増加に転じているが腎移植数は昨年度186例と増加は認められていない。このことは脳死からの提供は増加したが全体としての提供数はまだ増加していないことを示している。 厚生労働省の臓器移植に関する世論調査によれば6割以上が臓器移植に関心をもち約半数が臓器提供に積極的であったとしている。今後臓器移植数は増加していくものと期待されているが、約12,000人が腎移植登録を行い、平均待機年数が15年である現状の打開が強く望まれている。

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