演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

地域における市民への療法選択情報発信

演題番号 : SY-3-1

岡田 一義:1、阿部 雅紀:1、大西 禎彦:2、横山 博美:3

1:日本大学医学部附属板橋病院 腎臓高血圧内分泌内科、2:千曲中央病院、3:医新クリニック

 

厚生労働省は、在宅医療および移植医療を推進しているが、これらを支援する施設や医療スタッフが少なく、在宅透析および腎移植は普及しているとはいえず、腹膜透析患者は1万人程度、在宅血液透析患者は230人程度、腎移植患者は1,300人程度である。28万人以上が施設血液透析患者であり、生活の質(quality of life: QOL)の低下につながっているが、わが国の透析療法は国際的にも最高の水準にあり、施設血液透析を選択しても何も問題はない。しかし、施設によっては、療法選択時にすべての情報を患者に適切に提供していない問題が存在している。すべての腎代替療法を実施している施設はほとんどないため、行政が主導し、すべての腎代替療法を実施している地域単位で情報発信を行う形が望ましいが、慢性腎臓病(CKD)は四大疾病に含まれておらず、行政主導でCKD対策を行っている地域は少ない現状がある。 透析患者数を減らすためには、CKDの早期から末期ステージまで連続した対策が必要であり、末期CKDを対象として腎代替療法の情報のみを発信するのではなく、かかりつけ医と専門医の連携、生活指導、食事療法、薬物療法、患者教育なども含め、CKDの早期ステージからの情報を発信することも重要である。腎臓専門医がかかりつけ医との連携により、多くのCKD患者と関わりを持ち、わかりやすい患者教育を行うことによっても情報提供を実施できる。そこで、我々は、患者中心の医療の中で、CKD患者の意思決定を尊重するCKD治療のための「じんぞう病治療研究会」を2007年に立ち上げ、地域性、中立性、公平性、透明性を重視して活動している。市民公開講座により情報を提供し、年1回、初級講座(講演会、展示会)と集中講座(講演会)を開催し、300名以上の市民が参加している。 地域における市民公開講座を継続することにより、CKDの進行を抑制する治療とともに腎代替療法についての正しい情報を発信できるとともに、患者との深い絆も形成でき、患者による在宅透析および腎移植の自己選択も増加している。

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