演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

追加発言) 急性腎障害に対するナノ粒子治療の開発

演題番号 : SY-1-6

平山 暁:1、吉冨 徹:2、長崎 幸夫:2

1:筑波技術大学東西医学統合医療センター、2:筑波大学大学院数理物質科学研究科・筑波大学学際物質科学研究センター

 

【緒言】急性腎障害(AKI)に対する炎症コントロールを主眼とした治療戦略が試みられているが,全身性の抗酸化剤投与は複雑な生体内レドックスバランスのもと安定した効果をあげることは難しい.我々はDDS技術を応用し、高い炎症部位指向性と抗酸化活性を有するTEMPOラジカル含有ナノ粒子(radical containing nano-particle: RNP)を合成し(Bioconjugate Chem. 1792-1798, 2009),AKIをはじめとする疾患治療への応用を試みている. 【方法】RNPはpoly(ethelenglycol)-poly(chloromethylstylene)鎖を基本骨格としTEMPOを疎水性セグメント側鎖に有する親ー疎水型ブロックポリマーとして合成し,生体内安定性を確保した.炎症部位指向性のため,TEMPO接続基の置換により酸性領域でミセルが自己崩壊し内因性TEMPOの抗酸化作用を発揮するpH応答性を導入した. 【結果】合成されたRNPは平均粒径40nmであり,pH<6の酸性領域で粒子は自己崩壊し分枝状TEMPOへ変化した.また非粒子化TEMPOに比べ,アスコルビン酸に対する強い還元耐性と低毒性が認められた.マウス1K1C 50分虚血再潅流AKIモデルにおける検討では,pH応答型RNPは非粒子化TEMPOに比べ血清クレアチニン,BUNの上昇および組織障害を抑制し、これは脂質過酸化およびIL-6の上昇抑制を伴っていた.pH非応答型RNPは応答型に比べ血中安定性は高いものの腎保護効果は有意に弱く、非粒子化TEMPOに近いものであった.非粒子化TEMPOでは投与後1時間以内に顕著な血圧低下が認められたが,RNPでは血圧を維持可能であった.電子スピン共鳴法を用いた検討では,再潅流後1時間以内にpH応答型RNPは腎に効果的に集積し,自己崩壊により内因性TEMPOが抗酸化作用を発揮していることが認められた. 【結論】これらの結果は,pH応答型RNPのAKI治療における高い有用性を示している.さらにRNPは脳血管障害モデルにおける有用性も確認されており(Neurosurgery, in press),ナノ粒子化による生体内安定化と共に炎症部位をアクティブターゲットとした抗酸化治療は,今後のAKIおよびcritical careにおける重要な治療戦略と考えられる.

前へ戻る