演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

AKIに対する新たな薬物療法の可能性

演題番号 : SY-1-5

南学 正臣:1

1:東京大学医学部附属病院 腎臓内分泌内科

 

AKI に対し現在使用される薬物療法としては、利尿薬、dopamine, hANP などがあるが、いずれも腎保護効果は確立されておらず、血液浄化療法が唯一の確立された治療法である。このため、AKI の予防あるいは治療に有効な新しい薬物療法を開発することは、臨床的に非常に重要である。AKIの病態生理を考える場合に重要となってくるのが虚血である。虚血に陥った尿細管細胞はメディエーターを産生して炎症を引き起こすとともに、虚血に伴った酸化ストレスが起こり、腎障害を増悪する。抗酸化治療はAKIに有効である可能性があるが、酸化ストレスについては確立したマーカーがなく、抗酸化薬の効果の検証と臨床応用へ向けての発展が阻害されている。酸化ストレスによる障害増幅の機序としては、カルボニル化合物の形成促進も大きな役割を持ち、これに対してglyoxalse I によりカルボニルストレスを軽減することがAKI治療において有効であることが実験的に示されている。虚血自体に対しては、生体防御機構としてのHIF (Hypoxia-Inducible Factor)の役割の解明が進んでおり、遺伝子改変動物を用いた研究などによりHIF1およびHIF2の虚血腎障害での保護的な役割が判明している。現在、種々のHIF活性化化合物の研究が進んでおり、主にHIFの分解を司る prolyl hydroxylase を阻害することによるHIFの活性化が戦略として採用されている。AKI の実験動物モデルにおいては、prolyl hydroxylase 阻害による HIF活性化は様々なグループから独立して有効性が示されており、HIF活性化薬を利用したAKIの予防と治療が可能になる日が待望される。

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