演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

AKI の新規バイオマーカーの開発と治療への応用

演題番号 : SY-1-1

湯澤 由紀夫:1、長谷川 みどり:1、林 宏樹:1、秋山 真一:2、丸山 彰一:2

1:藤田保健衛生大学 腎内科学、2:名古屋大学医学部 腎臓内科学

 

現在、Omics 解析の急速な発展により網羅的なバイオマーカー検索が精力的に行われている。この中で、genome, transcriptome, proteome は得られる候補物質が多く、臨床応用に向けた候補物質の絞り込みのシステムが重要となっている。これらに対してmetabolome は、候補代謝産物が比較的少ないことから、疾患バイオマーカー探索や治療ターゲット・リード化合物探索への応用が急速に注目されている。これらの網羅的解析手法により得られた複数のバイオマーカー候補群から臨床応用可能なマーカーの絞り込みを行うには、新規発見物質に対して迅速かつ汎用性の高い抗体生産方法の開発と低コスト・ハイスループットなマルチバイオマーカー測定系が必須となる。 一方、AKI の領域においても、急性の僅かな血清Cr上昇が生命予後を悪化させる事実からAKIの疾患概念が定着し,より早期・軽症の段階で治療介入する必要性から、血清Crに替わるより鋭敏なバイオマーカーの開発が急務となっている。世界的にも尿バイオマーカーの探索と検証が精力的に行われており、単独のバイオマーカーではその目的の達成が困難であることが推定され、それらのパネル化の検証と実用化を目指したプログラムが推進されている。 現在、AKIの(I)鑑別診断能・(II)早期診断能・(III) 予後推定能のそれぞれのカテゴリーに関して、NGAL,IL-18,L-FABP, KIM-1などの新規バイオマーカーの有用性が報告され、臨床応用に向けた期待が高まっている。我々は、尿中midkine がこれらのマーカーと同様のポテンシャルを有することを昨年の本学会で報告した。しかし、AKI の診断に関して、個々のマーカーには限界があり、複数のマーカーの組み合わせによるパネルモデルの作成が重要である。 今回のシンポジウムで、(I)鑑別診断(スクリーニング用パネル・確定診断用パネル)(II)早期診断に関して、尿中midkineを含む複数のバイオマーカーを用いたパネルモデルの有用性について提示する。また、AKI の治療に関して、RIFLE分類やAKIN分類による治療介入群とこれらのバイオマーカーを指標とした早期介入群との予後比較が重要となる。

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