演題情報

共催シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

骨代謝の管理

演題番号 : KW-2-4

風間 順一郎:1

1:新潟大学医歯学総合病院 血液浄化療法部

 

骨代謝の異常は、検査値の異常、石灰化の異常と並んでCKD-MBDを構成する三大要素の一つである。実際に、透析患者の骨折頻度は健常者の4倍に昇る。しかし透析患者の骨折頻度が高くなる原因はわかっておらず、またそのリスクを減らすための有効な対策も確立されていない。いわゆる腎性骨異栄養症では生検骨の定量的組織解析がその診断のゴールドスタンダードであるとされてきた。CKD-MBDの概念を提唱したKDIGOも骨代謝の異常に対しては基本的にそのスタンスを踏襲している。しかし、特に昨今においては、疾患を整理する「手段」であるはずのこれら組織分類が、診療上に実際のメリットをもたらすという確証も印象もない。一方でCKD-MBDの時代になっても未だに多くの研究者が様々な方法で組織型を推定することを「目的」としたプロジェクトに血道を上げている。このように、CKD-MBDの骨代謝を巡る今日の状況は、まさに「手段が目的に化けている」有様である。更にCKD-MBDとは「CKDに伴う全身性のミネラル代謝異常」であるため、CKD-MBDの部分症状である骨代謝異常とはあくまでも「全身性のミネラル代謝異常に由来する骨代謝異常」に限定されると考えることが今日では一般的である。ここで尿毒症病態では全身のミネラル代謝以外にも骨代謝を修飾しうる因子が多数あり、従って「CKD-MBDの骨代謝異常」と「CKD患者に見られる骨代謝異常」とは同義であると考えられない。すなわち、CKD-MBD対策を行うことがCKD患者の骨折リスク軽減に繋がらないことも理論的には十分に想定されるのである。これらの現状を踏まえ、本邦のガイドラインでは、今日の段階で骨代謝診療の何が有用で何が有用でないか、そして何がわかっていないかを明瞭に示すことで、臨床上の問題点を浮き彫りにしたいと考える。ここで示される疾患認識は、あるいは現在の世界的な通念とは異なるかもしれない。それは、このガイドラインこそが世界をリードするものであるから、と自負する。

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