演題情報

教育講演

開催回
第56回・2011年・横浜
 

在宅血液透析の実践

演題番号 : EL-15

富田 耕彬:1

1:(医)富田クリニック 内科

 

2009年末、わが国の透析患者数はついに29万人を超えた。そのうち在宅血液透析(home-hemodialysis、以下HHDと略)患者はわずか229人であり、実に全体の0.1%にも満たない。同じ在宅透析であるCAPD患者9856人(全体の3.4%)に比しても極端に少ない。近年、長時間透析や頻回透析が、患者の長期予後の改善やQOLの向上につながるという報告は多く、現在の医療保険制度下で、これらの条件を満たすHHDには注目が集まっている。HHDとは、自宅に透析装置を設置し、各自のライフスタイルに合わせて血液透析を行うことをいい、患者、介助者、医療者が協力することで安全な透析が実践できる。当院のシステムでは、週3回の透析に合わせ、患者と介助者を対象に、仕事や家事を休まないままの教育を施行しており、およそ3ケ月以内で施設での訓練を終了する。実際にHHDが始まると、専任スタッフが専用携帯電話を保持し、24時間オンコール体制で対応にあたっている。HHDの最大の長所は、十分な透析量が確保できることである。施設では1回4-5時間、週3回が一般的な透析法であるが、HHDでは長時間・頻回透析が可能であり、連日透析も保険上可能である。2010年12月現在、当院では15名がHHDを施行中であり、そのうち9名は自らの意思で夜間の睡眠時間を利用したオーバーナイトHHDを実践している。十分に透析する(しかも中2日を作らない透析法)ことで、顔色は健常人と変わらないほどに改善し、血圧を始め一般状態の改善も著しく、私たちスタッフもこの透析法の素晴らしさに驚かされている。一方、クリアすべき問題もある。患者と介助者間に強い信頼関係が必要であり、また、穿刺などの医療技術も習得しなければならない。HHDの普及は遅々としたものであるが、幸いにも2010年春の保険点数改正で施設側の利益も見込めるようになった。しかしながら、HHDに関しては、患者のみならず透析医療従事者においても未だに認知度が低く、このため、今後の普及に向けての大きな課題は啓蒙活動であると考える。生き生きとして生活する患者の姿を目にすると、HHDこそ最高の透析治療だと確信している。本講演を通して、この素晴らしい治療法が少しでも全国に普及し、より多くの透析患者さんに享受されることを願っている。

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