演題情報

教育講演

開催回
第56回・2011年・横浜
 

心疾患とアフェレシス

演題番号 : EL-6

馬場 彰泰:1

1:北里研究所病院 循環器内科

 

瀉血に始まるアフェレシスの歴史は長く、現在でも血液浄化療法の心疾患治療における役割は大きい。このうち血漿交換療法の対象となる心疾患として、現時点では閉塞性動脈硬化症と家族性高コレステロール血症のみに保険適応があるが、拡張型心筋症(DCM:dilated cardiomyopathy)に対する治験が国内国外で進行中である。さらにサイタフェレシスまで含めれば今後の再生医療への可能性を含め、対象となる心疾患は増大するものと予想される。本講演では、まず3種の血漿交換療法を概説する。血漿を分離・破棄し新鮮凍結血漿を補充する単純血漿交換(PE:plasma exchange)、日本で誕生した二重濾過血漿交換(DFPP:double filtration plasmapheresis)、分離血漿から吸着器により病因関連物質を除去する血漿灌流吸着療法(PP:plasma perfusion)の原理、利点・欠点を説明する。PPには、LDL吸着療法やDCMに対する免疫吸着療法(イムソーバTR)などがあげられる。ともにACE阻害薬の内服は禁忌であり、同薬が必須である基礎疾患を有する場合はアンジオテンシンII受容体拮抗薬へ変更する。また上記3疾患の治療概要にもふれる。下肢閉塞性動脈硬化症に対しては診断・治療指針TASC IIより、診断アルゴリズム・Fontaine分類・改善すべきリスクファクターをあげ、アフェレシス適応を確認する。動脈硬化性疾患とくに脂質異常症に関しては日本動脈硬化学会ガイドラインをあげ、LDLコレステロール上昇のみならず、HDL低値, 中性脂肪高値をも是正する必要性をしめしたい。これらLDL吸着療法の最終目的は心血管イベントの減少であり、虚血性心疾患の最近の非侵襲的検査(冠動脈CTと負荷心筋シンチの併用)と、ステント挿入術の紹介もする。最後に心不全アフェレシス治療として、治験前の「拡張型心筋症に対する免疫吸着療法」の成績を説明し、慢性腎臓病への応用に関しても言及する。すなわち慢性腎不全患者における液性免疫異常の検討を進めていくことで、透析導入自体をアフェレシス治療で回避できる可能性について紹介したい。

前へ戻る