演題情報

教育講演

開催回
第56回・2011年・横浜
 

腎移植患者の管理

演題番号 : EL-2

剣持 敬:1

1:国立病院機構千葉東病院 臨床研究センター

 

当施設では,2004年4月~2011年2月までに生体腎移植199例(生体膵・腎同時移植15例含む),献腎移植51例(脳死膵・腎同時移植3例含む),計250例の腎移植を施行した.今回,当施設での臨床を中心に,腎移植の管理の実際とポイントにつき述べる. 腎移植管理には,1)移植前の透析管理,合併症管理,2)ABO血液型不適合腎移植における脱感作療法,3)移植後急性期の全身管理,4)免疫抑制法と感染対策,5)移植後慢性期のメタボリック症候群,悪性腫瘍の対策,など時期により様々の管理を必要とする. 移植前管理として長期透析による心血管系合併症の評価と移植前治療が重要である.また糖尿病性腎症では血糖の管理のみでなく,心血管系合併症と動脈硬化の評価が必須である.当院では約12%の症例が透析導入前の腎移植(preemptive transplantation)でCCr:<20ml/minを適応としているが,透析例よりも更に綿密な移植前水分管理や薬物治療を必要とする.当施設の生体腎移植の約30%がABO血液型不適合間の移植である.不適合移植では抗血液型抗体の産生抑制,抗体除去のため,移植前免疫抑制療法に加え,Rituximab投与,二重濾過血漿交換,血漿交換による脱感作療法を行う. 生体腎移植では移植後即利尿が得られ,多くは利尿期として1日5L~10Lの尿量を呈する.この急性期は過不足ない輸液と,電解質,血糖管理を行う.脱水は血栓症のリスクを増大させ(特に膵臓移植),水分過剰は肺水腫や心不全を惹起する.特に動脈硬化の強い高齢者,糖尿病例では注意が必要である.心停止献腎移植では急性尿細管壊死のため通常7日~14日無尿期が存在する.水分管理は透析患者に準ずる.移植後早期の腎機能低下の原因は,拒絶反応,免疫抑制剤(カルシニューリンインヒビター)の腎毒性,尿路系合併症,感染症等である.腎機能低下を来した場合には迅速に原因を究明し対策をとる必要があり,超音波ドプラーによる血流評価,移植腎生検が有効である. 移植腎の長期成績を左右する非免疫学的因子として,移植後メタボリック症候群,悪性腫瘍等の対策が重要である.腎移植成績向上のためには,移植医のみでなく,腎臓内科医,糖尿病内科医,レシピエント移植コーディネーターなどのチーム医療が肝要と考える.

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