発表

一般研究発表(ポスター)
2PM-055

なぜ,あなたは戸締りをしないのか ‐集合住宅居住者の外出時無施錠の原因−

[責任発表者] 島田 貴仁:1
[連名発表者] 本山 友衣:2
1:科学警察研究所, 2:日本大学

目 的
 近年,日本での住宅対象侵入盗の総数は減少傾向にあるが,特殊開錠用具(ピッキング)やガラス破りによる被害の割合が減少しているのに対し,ドアや窓・ベランダ等の開口部の無施錠に起因する被害の割合は増加傾向(2012年には44.9%)にあり,外出時や就寝時の施錠促進が望まれる.
 施錠行動は,施錠にかかるコスト認知と,施錠によるベネフィット認知(あるいは,侵入被害のリスク認知)の比較考量の結果であり,住宅の立地条件,建物内での住戸や開口部の位置のほか,個人のパーソナリティや日常行動も影響すると考えられる.このため,ひとつの住宅に複数の開口部があり,ひとつの開口部に複数の錠がありうることに着目して,外出時の施錠行動についての調査をおこなった.
方 法
インターネット調査会社に登録した,特別区・政令指定都市を含む15都道府県に住む18-39歳の未婚女性約43万名のうち2万名に対して予備調査を行い,集合住宅に単身居住し,住居費を自分で支出し,過去5年間に住宅対象侵入窃盗の被害に遭っていない回答者3696名を本調査の対象とした.

本調査での主要調査項目は次の通りである.1.住戸・個人:侵入犯罪リスク認知,建物の建て方,居住階数,防犯設備(オートロック,防犯カメラ等)の有無等,外出頻度(3変数),Big-Five短縮版.2.開口部:玄関ドア,共用通路に面する窓,共用通路に面しない側の窓・ベランダ,浴室の別に,利用頻度,防犯設備(補助錠,窓格子など)の有無.3.錠:錠ごとの外出時の施錠の頻度,無施錠の場合はその理由(複数回答).
 調査回収632名のうち,回答に矛盾のない620名を分析対象とした.なお,予備調査で尋ねた短時間外出時及び急いでいる場合の外出時無施錠の頻度が「まあまあある」「よくある」の回答者をオーバーサンプリング(回収228名/抽出466名)した.属性をTable1に示す.
結 果
 Fig1に示すように,補助錠が設置されている玄関や窓・ベランダでも,その半数弱は適切に利用されていなかった.また,主錠に限って利用状況を開口部の種類別・居住者の階数別にみると,窓やベランダでは1階よりも2階数で無施錠の割合が高いことが明らかになった(Fig.2).
 Table2に,錠種類(主錠/補助錠)別の無施錠理由と,開口部・建て方・居住階・外出頻度別の主錠の無施錠理由を示す.主錠では「短時間の外出だから」が最も多く,補助錠では「毎回錠をかけるのは面倒だから」が最も多かった。開口部の種類,住宅の建て方,居住階数,外出頻度,都市規模の影響を受けており,性格特性との関連も見られた.
考 察
 施錠設備が必ずしも適切に利用されていないのは,自転車の施錠行動(島田,2011,日心大会)と同様の結果といえる.同一個人でも開口部ごとに施錠行動は異なっており,無施錠理由も住戸の特性や都市規模によって異なっているため,施錠促進方策は個人と場所との双方に焦点づける必要があると思われる(本研究の一部は,科研費(22730497)の補助を受けた).

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