発表

一般研究発表(ポスター)
1PM-034

がん医療に携わる医師の死生観

[責任発表者] 中島 香澄:1
[連名発表者] 岩満 優美:2, [連名発表者] 関谷 徳泰#:3, [連名発表者] 玉利 祐樹:3, [連名発表者] 城戸口 親史#:2, [連名発表者] 黒田 佑次郎#:4, [連名発表者] 中川 恵一#:5
1:東京医療学院大学, 2:北里大学, 3:東京大学, 4:福島県立大学, 5:東京大学医学部附属病院

目 的
 わが国では,昨今,全人的視点に立ち,苦痛の緩和,QOLの重視,チームアプローチといったホスピスマインドに根差した医療の整備が進んでいる(橘,2004)。こうした医療を支えるものは,医療従事者自身の価値観,死生観,人生観などの人間性によっているとの指摘(高原ら,2014)があり,患者の死に直面しうるがん医療に携わる医師の死生観について検討することは重要と思われる。そこで本研究では,「終末期の過ごし方」に着目して,がん医療に携わる医師の死生観を検討する。
方 法
対象・手続き 本調査の承認を得た医師会(江戸川区,大田区,中野区,姫路)に所属する医師1791名を対象に郵送で調査用紙を配布し,返信を持って研究協力の同意を得たとみなした.576名から回収し,そのうち「終末期の過ごし方」への自由記述回答のあるもの485名を分析の対象とした。本調査は、東京大学医学部研究倫理委員会の承認を得て行った。
調査票の質問内容 1)基本属性(年齢,性別,主治医として診療したがん患者数,看取り人数など),2)自分自身の希望する療養場所,3)自分自身の希望する病状説明の在り方,4)終末期の過ごし方(自由記述),5)死生観尺度(平井ら,2000)について調査した。本研究は4)について分析した。
分析方法 4)の自由記述内容をMayring(2004)の手法に準じて質的分析を行った。まず2名の研究者が内容の抽出を行い,表現と内容に名称(コード名)を付与し,類似する内容のコード化を実施した。それをもとに類似したコードを集約し,カテゴリーとし,名称を付与した。その後,1名の研究者が加わり,コードとカテゴリーについて再検討し,3名の研究者全員の意見が一致するまで協議を繰り返し,その内容的妥当性を検討した。
結 果と考 察
 「終末期の過ごし方」について自由記述のあった485名の性別内訳は,男性384名,女性99名,不明2名であった。また年代は,30代15名,40代96名,50代173名,60代107名,70歳以上94名であった。「今までに主治医として診療したがん患者数」は,0人が68名,1から9人が80名,10から19人が58名,20から49人が56名,50から99人が45名,100から199人が54名,200から299人が30名,300人以上が87名,不明が7名であった。「今までのがん患者の看取り数」は,0人が99名,1から9人が124名,10から19人が51名,20から49人が64名,50から99人が52名,100から199人が44名,200から299人が12名,300人以上が34名,不明が5名であった。
質的分析の結果をTable1に示す。(以下、[]をカテゴリー,<>をサブカテゴリー,“”をコードとする)
終末期の過ごし方として,[趣味][整理][家族][仕事][友人・知人][生活][死への準備][人生][時に任せる][宗教・信仰][環境を変える][死に特別な意味を見出さない][治療法の模索]の13カテゴリーが抽出された。このうち頻度が10%以上のカテゴリーについて,サブカテゴリーやコードを見てみると,[趣味]には<旅行>や“おいしいものを食べる”などの<飲食>,“読書”“スポーツ”などの<その他>が含まれ,[整理]には“家・部屋を片づける”などの<身辺・残務整理>と“財産・遺産を分配する”といった<財産・遺産整理>が含まれた。[家族]には“家族との時間を増やす”などの<家族と過ごす>や“家族・子供と話す”“感謝を伝える”などの<メッセージ>が含まれた。[仕事]には“仕事を片付ける”“仕事の引き継ぎをする”などの<仕事の整理>や“今まで通り仕事をする”といった<仕事継続>などが含まれた。
一方,頻度が5%に満たなかったカテゴリーは,[死への準備(4.31%)][人生(3.06%)][時に任せる(2.04%)][宗教・信仰(1.80%)][環境を変える(1.18%)][死に特別な意味を見出さない(0.24%)][治療法の模索(0.24%)]であった。
このことから,自身の死後や最期のこと,これまでの人生のまとめ,宗教・信仰などへの関心よりも,これまで楽しんできた趣味や家族との関わりを大切にし,身辺や仕事面の整理をして余生を送ることを望む割合が高いことが示唆された。

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