発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-086

聴覚空間手がかりの呈示によるサイモン効果への影響

[責任発表者] 田 飛:1
[連名発表者] 紀ノ定 保礼:1, [連名発表者] 篠原 一光:1
1:大阪大学

目的
サイモン効果とは、刺激が画面の左あるいは右側に呈示され、刺激の種類によって左あるいは右の反応をするという課題で、刺激の位置と刺激の特徴による反応の位置が不対応な場合(非適合条件)より、刺激の位置と反応の位置が対応する場合(適合条件)の方が、反応が速くなる現象を指す。
サイモン効果の発生原因は注意転移説によって説明される。反応時における実験参加者の注意が、画面周辺に呈示される刺激に向けて転移し、自動的に転移方向に対応する反応符号を生成する。この反応符号が正しい反応と不一致である場合に葛藤が起こり、反応のパフォーマンスが低下する。つまり、サイモン課題を行う際に発生する注意の転移はサイモン効果を引き起こす主な原因であると考えられる(Nicoletti & Umilta, 1994) 。
本研究の目的は、注意の空間定位を誘導する聴覚空間手がかりを3つの時点で呈示し、サイモン効果を低下させる手続きを調べることであった。ターゲット呈示より前の時点で、ターゲットと同じ位置に手がかりが呈示される場合、注意がターゲットの位置に保たれ、反応時における注意の転移が発生しないため、手がかりがターゲットと逆位置に呈示される場合に比べてサイモン効果がより低下するか、あるいは消失すると予測した。一方、ターゲット呈示より後の時点で、手がかりがターゲットと逆位置に呈示される場合、注意は一旦ターゲットの位置に向けて転移し、その後手がかりの位置に向けて逆方向の転移を行う。このため、生成される自動的反応は反転し、手がかりがターゲットと同じ位置に呈示される場合より、サイモン効果が低下すると予測した。

方法
実験参加者 20名(男性11名、女性9名、平均年齢25才)であった。このうち17名が右手利き、3名が左手利きであった。
サイモン課題 赤色あるいは青色の正方形(ターゲット)が画面の中心、左側あるいは右側にランダムに呈示された。赤色に対して左
反応、青色に対して右反応をした。
手続き 実験では3つのセッションを行った。セッション1では、サイモン課題のみ行われた。セッション2ではサイモン課題の遂行の際に、課題に無関係な音(100Hz, 50ms)が3つの時点で(ターゲット出現の前100ms、後100ms、後200ms)左右のスピーカーから同時に呈示された。セッション3では、音が左あるいは右のスピーカーから呈示された。そして、一人の実験参加者がすべてのセッションに参加した。

結果と考察
音の出現時点毎に、適合性×手がかり位置関係の2要因分散分析を行ったところ、ターゲット出現後100msの場合のみ有意な交互作用が見られた(F(1,19) =5.431, p<.05)。手がかりとターゲットの位置が同じ場合より、手がかりとターゲットの位置が逆の場合の方では、適合試行における平均反応時間が約10ms長くなったが、有意ではなかった(F(1,38) =2.565, n.s.)。一方非適合試行における平均反応時間が約10ms短くなり、差に有意な傾向が見られた(F(1,38) =3.129, p=.085)。これにより、手がかりがターゲットの出現後100msに呈示される場合、手がかりとターゲットの位置が同じの場合に比べて、手がかりとターゲットの位置が逆の場合にサイモン効果がより低下した(40ms対19ms)ことが分かる(図1)。手がかりをターゲットの呈示後に呈示する場合、注意は最初にターゲットの位置に向けられ、その後手がかりの位置に向けて転移する。この各転移はそれぞれ自動的反応を賦活する可能性がある。自動的反応の間にインタラクションが起こった結果、サイモン効果が影響を受けたと考えられる。


参考文献
Nicoletti R., Umilta C.: Attention shifts produce spatial stimulus codes. Psychoiogical Research, 56, 144-150, 1994.

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