発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-084

歌声合成ソフトの利用とキャラクター認知: 事象関連電位を指標として

[責任発表者] 玉宮 義之:1
[連名発表者] 開 一夫#:2
1:獨協大学, 2:東京大学

初音ミクなどの歌声合成ソフトは、ユーザーが自らの意のままにその発声を制御可能であるという点において、これまでのバーチャルキャラクターとは異質な存在となっている。このような歌声合成ソフトの利用者は、そのキャラクターをどのように認知しているのだろうか。
バーチャルキャラクターの認知に関して、これまでにいくつかの認知神経科学的研究が行われている。たとえば、親近感を反映する脳波成分を指標とした研究から、自らが操作したゲームキャラクターに対してより大きな反応がみられ、キャラクターを操作することによる効果が報告されている(松田ら, 2010)。
音声認知に関する研究から、自分の名前を呼称する声の親近性によって、自己関連処理を反映すると考えられている事象関連電位成分のP3が変化することが知られている(Holeckova et al.,2006)
 キャラクターを視覚的に操作可能な場合だけでなく、聴覚的に操作可能な場合においても自己に関連した処理が促進されるのだろうか。本研究は、自己関連処理を反映すると考えられているP3成分を指標に実験を行った。

方 法

 参加者:Vocaloidの作成経験がない成人1名(男)
 脳波計測課題:passive oddball課題
 聴覚刺激:歌声合成ソフトVocaloid「zora」による参加者の名字呼称
記録・解析:EEGデータは国際10-20法に基づきCzを基準とし、両耳朶連結基準後Pzから導出した。データ補正後(バンドパス:0.1-30Hz)、刺激呈示前100msを基線とし,-100から600msを加算平均した
 手続き:参加者は、Vocaloidを使用して作曲を行った。1日1回1時間、作曲し、3週間に8回、合計8時間、作曲を行った。作曲を開始する前と後に脳波計測を行った。

結 果

 Fczから導出した加算平均波形を図1、2に示す。標準刺激と標的刺激に対するP3の頂点振幅の差分が、作曲前(3.54μV)よりも作曲後(4.44μV)のほうが大きかった。

考 察
本研究の結果、歌声合成ソフトの利用によって操作可能なキャラクターの音声がより自己に関連する刺激として認知される可能性が示唆された。

引用文献
松田 剛, 開 一夫 (2010) 事象関連電位を指標としたゲームキャラクターの自己同一視に関する検討. 認知科学, 17(1), 241-245.
Holeckova, I., Fischer, C., Giard, M. H., Delpuech, C., & Morlet, D. (2006). Brain responses to a subject's own name uttered by a familiar voice. Brain research, 1082(1), 142-152.

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