発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-076

実対象と異なる奥行き感をもつ3次元画像への接触行動の測定

[責任発表者] 河村 壮一郎:1
1:鳥取短期大学

目 的
 両眼視差による3次元映像では現実の対象とは異なる奥行きが知覚されうる。一方、外界への接触行動は一般に知覚された像に対してなされると考えると、立体視により実対象と知覚像の奥行きに差異がある場合、対象に接触する行動は通常よりも遅れる(あるいは早まる)ことが予想される。一方、接触しない操作にはそうした影響は生じないと推測される。本研究では3次元画像中の数字を選択する課題の実験を行いこの仮説の検証を試みた。
方 法
参加者 短期大学生18名。
刺激 1から9までの9つの数字が縦横3列ずつ並んだ画像を作成した(Figure 1)。各数字はボタン形状の画像上に示されており、各ボタンの大きさは縦130ピクセル、横120ピクセルである。ボタンは黒色、数字は白色、背景色は水色であり、画像はディスプレイの下段中央に提示された。
 この画像が立体視されたとき、数字の奥行き位置を左右画像の視差量で操作した。数字がディスプレイ表面と一致して知覚される画像を奥行0、それより奥に知覚される画像を+、より手前に知覚される画像を−として、それぞれ3段階をとった(3D条件、-3,-2,-1,0,+1,+2,+3)。条件の段階ごとに左右画像を横方向に4ピクセル移動した。これとは別に左右の画像に視差がない2次元画像を作成した(2D条件)。
 数字の読み上げ音声は機械合成である。刺激の提示、反応時間の測定にはSuperLab 4.5を用いた。
装置 刺激の提示には偏光式の3次元映像を提示可能なディスプレイ(Zalman社製24インチモニタZM-M240W)を用い、画面解像度はフルHD(1920× 1080)であつた。このディスプレイ前面上に感圧式タッチスクリーンを取りつけ、参加者の約30cm先に設置した。課題に回答する装置には2種類あり、タッチスクリーン用のスタイラスペンと光学式マウスを用いた。
手続き 実験課題は音声提示される数字と一致するディスプレイ上のボタンをできるだけ速くかつ正確に選択することである。参加者はディスプレイ上の数字をペンでタッチするか(スタイラスペン条件)、マウスで該当箇所をクリックした(マウス条件)。数字の読み上げ開始から反応がなされるまでの時間が試行ごとに測定された。
各参加者は画像要因8条件×反応要因2条件の合計16条件の課題を行った。各条件は18試行あり、1〜9の音声刺激が2回ずつ条件ごとに連続提示された。条件の実施順序は参加者間でバランスをとった。どの条件でも参加者は偏光式メガネを装着した。
 各条件の終了後に、7段階の尺度による画像と操作に関する4項目の印象調査の質問項目が逐次表示され、参加者の回答後に短い休憩があった。
結 果
 各条件の後半9試行の反応時間を対数変換して分析した。条件ごとの反応時間がFigure 2に示されている。この結果について画像要因と反応要因の2要因分散分析を行った結果、条件間の有意差は見いだされなかった。
スタイラスペンとマウスの操作性に関する印象評定値の結果がFigure 3に示されている。この評定値に画像要因と反応要因の2要因分散分析を行った結果、画像要因の主効果が有意になった(F(7,98)=9.69, p<.01)。また、同様の分散分析を画像の立体感に関する評定値において行い、画像要因の有意な主効果を見いだした(F(7,98)=4.86, p<.05)。
考 察
印象評価の結果から視差量の大きい3次元条件で2次元条件よりも操作しにくい傾向がみられたことから、視覚と触覚との奥行き方向の差異の量が選択反応に影響していたと考えられる。一方、反応時間に条件間の明確な差が認められなかった結果は、参加者が両感覚間の差異から生じる違和感に関わりなくできるだけ早く反応しようとしたためと推測される。また、スタイラス条件とマウス条件間に差がなかった原因は3次元画面中のマウスポインタがやや見づらかった可能性が考えられる。このため、実験の条件設定を変更することにより、当初予想した結果が得られるかどうかを再検証することが今後の課題である。

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