発表

一般研究発表(ポスター)
1AM-074

メタ認知は知能を超えどの程度、学習成績を予測するか

[責任発表者] 大谷 和大:1
[連名発表者] 三宮 真智子:1
1:大阪大学

目 的
 メタ認知は学習を考える上で重要な概念であり,メタ認知をいかに高めるかが教育実践上の課題であるといえる。このような実践は,メタ認知が教育によって高められることを前提としていると考えられる。一方,メタ認知と成績の関係を検討する上で,注意しなくてはならないのが知能とメタ認知の関係である。知能は,一生を通じて変動するものの,程度の差こそあれ意図的に変化させることは比較的難しいと考えられる。
メタ認知と知能の関係について,いくつかの研究では,メタ認知は知能の一つの側面として捉えられている(e.g., Cornoldi, 2010)。もしも,メタ認知的な能力が,知能により大部分を規定されるならば,(1)メタ認知を高めることは比較的困難であり,(2)メタ認知と学習成績との間の正の関係も知能が交絡した結果である可能性ある。一方,他の研究では,知能とメタ認知はお互いに関連があるものの,知能を統制したうえでもメタ認知は,有意に成績を予測すると考えられている(e.g., Minnaert, 1996; Veenman et al., 2006)。メタ認知が,知能のレベルを統制したうえで学習成績を予測するならば,たとえ知能が低くとも,メタ認知に介入することで成績を補償できると考えられる。
ところで,メタ認知は,発話思考法などのオンラインの手法や,質問紙を用いたオフラインの手法で測定されている(Veenman et al., 2003)。オンライン法はメタ認知をより妥当に測定していると考えられるが,発話思考法にはかなりのコストがかかるため,どの研究もサンプルサイズが小さく(小さいものではN < 15)安定的な結果を導き出せているとはいえない。そこで本研究は,メタ分析を用いメタ認知と知能の関係を検討する。さらに,メタ認知が知能を超えて,どの程度,学習成績を予測するのか検討する。

方 法
 1977年から2014年までの全ての論文について,データベースPsych INFOを用いて検索し,本研究の目的と関連が予測される論文および効果量として相関係数が報告されている論文をスクリーニングした。さらに,選定した論文の引用文献にも目を通し,関連のあると考えられる論文も分析に含めた。結果,19本の論文(N = 1681)の中から最大27個の効果量( r )を抽出した。相関係数をz変換し,サンプルサイズで重み付けたz相関係数を算出した。そして,双曲線逆正弦変換を行うことで,相関係数を算出した。なお,同じ研究内で複数の効果量が報告されている場合は,サンプリングの独立性を確保するためz相関係数同士の平均値を算出した。

結 果
 メタ分析の結果について,固定効果とランダム効果の2つを報告する(Table 1)。ランダム効果について,メタ認知と知能の間には,低から中程度の関係があることが分かった(r = .36; 95%CI [.27 - .45])。メタ認知の測定方法別にみると,オンラインではr = .43; 95%CI [.35 - .51],オフラインではr = .06; 95%CI [-.01 - .14])であった。また,メタ認知と学習成績の関連については,全体でr =.52, 95%CI [.42 - .60], オンラインでr =.59, 95%CI [.52-.65],オフラインで r =.26, 95%CI [.13 - .38]であった。さらに,知能と学習成績の関係については,r = .41; 95%CI[.31 - .50]であった。得られた相関係数を基に,メタ認知と知能がそれぞれどの程度,学習成績を予測するのかを検討した(Figure 1)。結果,メタ認知は知能を統制した上で,課題成績とβ = .42の関係を有することが分かった。
考 察
メタ認知は知能と弱い〜中程度の相関を示すが,それほど大きな関係ではないといえる。メタ認知は,学習成績と高い相関を示し,知能の影響を考慮しても有意に学習成績を予測することが示された。教育を行う上で,メタ認知に働きかけることの意義が示されたといえる。さらに,メタ認知の測定方法別に検討すると,オフライン法は知能や学習成績とかなり弱い関連しかなかった。メタ認知の測定の妥当性についても今後更なる議論が必要である。
引用文献
Cornoldi, C. (2010). Metacognition, intelligence, and academic performance. In H. S. Waters & W. Schneider (Ed). Metacognition, strategy use, and instruction. Guilford Press. (pp. 257-277), US.
Minnaert, A. (1996). Can metacognition compensate for intelligence in the first year of Belgian higher education? Psychogica Belgica, 36, 227-244.
Veenman, M. V. J., Prins, F.J., & Verheij, J. (2003). Learning styles: Self-reports versus thinking-aloud measures. British Journal of Educational Psychology, 73, 357-372.
Veenman, M. V. J., Van Hout-Wolters, B. H. A. M. & Afflerbach, P. (2006). Metacognition and learning: conceptual and methodological considerations. Metacognition and Learning, 1, 3-14.

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