発表

一般研究発表(ポスター)
3PM-054

世帯における子どもの有無と犯罪不安−千葉県コンビニ防犯ボックスの意識調査−

[責任発表者] 渡辺 由希:1
[連名発表者] 山本 功#:1, [連名発表者] 島田 貴仁:2, [連名発表者] 青柳 涼子#:1
1:淑徳大学, 2:科学警察研究所

目 的
西川・瀬渡・中迫(2012)によれば、近年は地域に住む住民同士のつながりが希薄になっており、地域で子どもを育てていこうとする意識が薄れてきている。このような状況で、犯罪から子どもを守るために、子どもを見守る様々な活動が各地で行われている。千葉県においては、平成25年11月6日より県知事の公約のもとにコンビニ防犯ボックス事業が開始され、千葉市内と市川市内の2箇所に設置された。警察官OBが各ボックスに3名ずつ、原則として14時から22時まで常駐し、地域住民と合同パトロールを行ったり子どもや女性の帰宅時間帯に通学路などで見守り活動を行う。平成26年10月1日放送の毎日新聞ニュースにおいて、このコンビニ防犯ボックス事業が地域における子どもの見守り活動のひとつとして取り上げられた。コンビニ防犯ボックスは、子どもを持つ家族の犯罪不安に何らかの影響を与えることが予測される。
以上から本研究の目的は、コンビニ防犯ボックス設置地区において、子どもを持つ世帯とそうでない世帯で設置前後の犯罪不安に変化があったか否かを検証することである。なお本研究は、千葉県・千葉県警および市川市との協力関係のもとで、千葉県・千葉県警が実施した「コンビニ防犯ボックス設置等モデル事業」に関する質問紙調査の一部を報告するものである。
方 法
調査対象者 コンビニ防犯ボックス設置地区(千葉市星久喜地区・市川市南大野地区)の成人(20〜79歳)男女。
調査方法 千葉市星久喜地区では、全戸配布郵便を利用した。バースデー法により世帯内の回答者を指定し、郵送回収した。市川市南大野地区では、住民基本台帳から1,000人を無作為抽出し、郵送により配布・回収した。
調査時期 コンビニ防犯ボックス事業開始前と開始5ヵ月後の2度、質問紙調査を実施した。事前調査は2013年10月、事後調査は2014年4月に実施した。
回収率 事前調査では、千葉市は2,684票配布、有効回収数762(有効回収率28.4%)であった。市川市は1,000票配布、有効回収数619(同61.9%)であった。事後調査では、千葉市は2,699票配布、有効回収数728(同27.0%)であった。市川市は993票配布、有効回収数605表(同60.9%)であった。
質問項目 本研究の分析に用いた項目は次の通りである。(1)自身の犯罪被害不安について尋ねる1項目、(2)夜11時過ぎの一人歩き不安について尋ねる1項目、(3)家族の犯罪被害不安について尋ねる1項目、(4)犯罪被害不安の有無について尋ねる5項目(罪種別)、(5)家族の犯罪被害不安の有無について尋ねる2項目(罪種別)。
分析方法 子ども(小学生以下)の有無と調査時期(事前・事後)を独立変数、犯罪不安にかかわる各項目を従属変数とする2要因の分散分析を行う。子どもの有無は、(1)子どもなし、(2)未就学児のみ、(3)小学生のみ、(4)未就学児と小学生ありの4水準、調査時期は(A)事前、(B)事後の2水準である。
結 果 と 考 察
分析に先立ち、合成変数を作成した。犯罪被害不安の有無について尋ねる5項目(罪種別)を合算し、〔犯罪被害不安〕とした(α=.89)。家族の犯罪被害不安の有無について尋ねる2項目を合算し、〔同居家族不安〕とした(α=.85)。
千葉市・市川市のいずれも、子どもの有無と調査時期(事前・事後)の交互作用効果は有意ではなかった。よって、主効果の結果を見ていく。千葉市では、自身の犯罪被害不安(p<.01)、家族の犯罪被害不安(p<.01)、犯罪被害不安(p<.01)、同居家族不安(p<.01)で子どもの有無の主効果が見られた。市川市では、犯罪被害不安(p<.01)、同居家族不安(p<.01)に子どもの有無の主効果が見られた。調査時期の主効果、すなわちコンビニ防犯ボックス設置の効果は、千葉市の自身の犯罪被害不安のみに傾向差が見られた(p<.1)。多重比較の結果をTable1、Table2に示す。
Table1、Table2より、小学生あるいは未就学児がいる世帯は、子どもがいない世帯よりも、全体的に犯罪にかかわる不安が高かった。千葉市は特に小学生がいる世帯の不安が高かった。これは、小学生は登下校時など単独で行動することがあるため、不安が高まったと考えられる。
また、千葉市のみボックス設置によって「自身の犯罪被害不安」は軽減された。
引用文献
西川結美・瀬渡章子・中迫由実 (2012). 犯罪から子どもを守るための地域防犯活動に関する研究: その3 子どもの登下校に対する保護者の意識 日本建築学会近畿支部研究報告集(計画系), 52, 381-384.

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