発表

一般研究発表(ポスター)
3PM-011

不思議現象に対する態度尺度の改訂(1) 不思議現象に対する態度(45)

[責任発表者] 川上 正浩:1
[連名発表者] 小城 英子:2, [連名発表者] 坂田 浩之:1
1:大阪樟蔭女子大学, 2:聖心女子大学

目 的
 不思議現象とは,現在の科学ではその存在や効果が立証されないが,信じられていることのある現象である。筆者らは一連の研究の中で,不思議現象に対する態度を測定する尺度(APPle:小城他,2008)を構成し,さらにその短縮版(APPle SE/30:坂田他,2012ab;川上他,2012ab)も作成している。しかし,APPle(APPle SE/30)を構成する下位尺度である“懐疑”尺度に関しては,批判的思考態度尺度との相関も低く,多義的な尺度となっている可能性も指摘される。そこで本研究では,批判的思考に基づく懐疑と,盲目的な否定とを分離可能とする新たな不思議現象に対する態度尺度の構成を意図し,特に不思議現象に対する懐疑や否定にまつわる態度を多面的に測定可能な尺度の開発を行う。
方 法
調査対象者 近畿圏のO女子大学,首都圏のS女子大学,中部圏のN大学に所属する大学生235名(男性31名,女性204名;平均年齢:19.2歳,SD = 2.5)が調査に参加した。
調査内容 APPle SE/30に,主に批判的試行的な懐疑や盲目的な懐疑,批判を区別可能とするための項目を加えることを意図し,盲目的否定(e.g.「占いやおまじないは,すべてデタラメだ。」),信奉者の否定(e.g.「霊や前世が見えると言っている人は,嘘つきだ。」),信奉者の責任帰属批判(e.g.「何でも占いで決めようとする人は,自分で判断しようとしていない。」),メディアによる捏造(e.g.「UFOや宇宙人のイメージは,テレビが作ったものだ。」),結果・効用・影響の評価(e.g.「占いやおまじないは,詐欺や悪徳商法に悪用される可能性がある。」),信奉メカニズムの理解(e.g.「占いを真剣に信じていれば,それが自己暗示となって結果的に当たることがあると思う。」),不思議現象への知的好奇心(e.g.「UFOや宇宙人の目撃証言を,科学的に分析するのはおもしろい。」),批判的思考に基づく批判(e.g.「おまじないが本当に効くのだったら,世の中で不審死がもっと起きているはずだ。」),不思議現象への科学的容認態度(e.g.「霊能力が絶対に存在しないと証明することは難しい。」)などに関する,85項目を新たに作成した。これらの新作項目にAPPle SE/30の30項目を加え,計115項目(5件法)からなる質問紙を作成した。
手続き 調査は各大学での授業時間内に実施された。
結 果 と 考 察
 新作項目とAPPle SE/30(以下旧尺度)とを合わせた115項目を対象に因子分析(主因子法プロマックス回転)を行い,負荷量が.400以上であることを基準に,負荷量の低い項目を削除しながら,因子の解釈可能性と上述の基準を満たすよう因子分析を繰り返した。本データにおいては,最終的に10因子解(73項目)を採用することとした。
 第1因子は旧尺度の「不思議現象にはトリックがあると思う」「心霊写真は,単なる思い込みにすぎない」や,新作の「テレビや雑誌の占いは,適当に作っているだけだ」等に因子負荷が高く,特にメディアで喧伝される不思議現象に対する懐疑であると考えられたため,“懐疑”因子と命名した。第2因子は旧尺度の「神仏の存在を信じている」「前世の存在を信じている」や,新作の「来世のことを考えても無意味だ」等に因子負荷が高く,神仏や霊の存在を信奉する態度であると考えられたため,“スピリチュアリティ信奉”因子と命名した。第3因子は旧尺度の「UFOの話題は楽しい」「たたりの話題は,会話を盛り上げる」や,新作の「超能力のトリックを見破りたい」等に因子負荷が高く,不思議現象をエンターテイメントとして楽しむ態度であると考えられたため,“娯楽的享受”因子と命名した。第4因子は旧尺度の「おまじないが効くと考えると安心する」「占いは当たると思う」や,新作の「占いは統計学の一種で,まったくのデタラメというわけではない」等に因子負荷が高く,占いやおまじないを嗜好する態度であると考えられたため,“占い・呪術嗜好性”因子と命名した。第5因子は,新作の「もし,本当に霊が存在しているなら,社会的に大騒動になっているはずだ」「もし本当に宇宙人がいるなら,地球は滅びているはずだ」等に因子負荷が高く,自ら知覚する社会的現実を根拠に宇宙人や霊の存在を否定する態度であると考えられたため,“社会的現実を根拠とした否定”因子と命名した。第6因子は,「自分は霊感がある方だ」「霊を見たことがある」等,旧尺度の“霊体験”因子と同一の項目に因子負荷が高く,“霊体験”因子と命名した。第7因子は,新作の「差別や偏見につながる血液型性格判断はよくない」「血液型性格判断のせいで,いじめが起こるのではないかと心配だ」等に因子負荷が高く,血液型性格判断に端を発する社会的問題を危惧する態度であると考えられたため,“血液型性格判断に対する批判”因子と命名した。第8因子は,新作の「霊能者の力が本当だったら,不可解な事故や殺人がもっと起きているはずだ」「もし本当に霊がいるなら,未解決の事故や殺人がもっと起きているはずだ」等に因子負荷が高く,事件の件数やその原因等の事実に基づき,霊や霊能力の存在を否定する態度であると考えられたため,“事件の頻度を根拠とした否定”因子と命名した。第9因子は,旧尺度の「おまじないは怖い」「超能力は怖い」等に因子負荷が高く,不思議現象に対する恐怖にかかわる態度であると考えられたため,“恐怖”因子と命名した。第10因子は,新作の「今の問題を前世のせいにしても解決につながらない」「物事を運命や前世のせいにするのは,現実逃避だ」に因子負荷が高く,問題の原因を前世に帰属することに対する否定的な態度であると考えられたため,“前世帰属に対する否定”因子と命名した。
 以上の10因子は,旧尺度における6つの下位尺度に,社会的現実を根拠とした否定,血液型性格判断に対する批判,事件の頻度を根拠とした否定,前世帰属に対する否定の4つの下位尺度を加えたものになっていると解釈することができる。
※本研究の一部は科学研究費補助金基盤C「不思議現象と心理学教育(課題番号15K04038 研究代表者 小城英子)」の助成を受けた。

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