発表

一般研究発表(ポスター)
3AM-033

心理的暴力被害経験尺度の作成 包括的IPV尺度の構築に向けて(1)

[責任発表者] 宮前 淳子:1
[連名発表者] 竹澤 みどり:2, [連名発表者] 宇井 美代子:3, [連名発表者] 寺島 瞳:4, [連名発表者] 松井 めぐみ:5
1:香川大学, 2:富山大学, 3:玉川大学, 4:和洋女子大学, 5:岡山大学

目 的
親密な関係における暴力(Intimate partner violence : IPV)が社会問題となっている。寺島他(2013)は,IPVの実態を検討するため,交際相手からの否定的行為についての自由記述を分類し,“身体的暴力”,“コントロール”などの17カテゴリーを抽出した。また,宇井他(2014)は,寺島他(2013)のカテゴリー分類を修正し,交際相手からの“見下し”や“約束の反故”といったより軽微な経験から,“嫉妬・束縛”,さらには“性的行為の強制”まで,様々な深刻度の被害経験がみられることを確認している。伊田(2015)においても,暴力の程度には強弱があることや,グレーゾーンを含めて広く暴力をとらえる必要があることが指摘されている。
しかし従来の研究では,様々な深刻度の暴力行為を包括的に測定する尺度は作成されてこなかった。そこで本研究では,IPVを包括的に捉える尺度の作成に向けて,まず交際相手からの心理的暴力に焦点をあて,様々な深刻度の被害経験を測定する尺度を作成するとともに,その信頼性について検討することを目的とする。
方 法
調査対象者:現在独身で交際相手がいる18歳〜29歳の男女530名(男性263名,女性267名)を対象とした。平均年齢は25.17歳(SD=2.99)であった。分析項目:宇井他(2014)のカテゴリー分類をもとに,交際相手からの心理的暴力被害経験に関する66項目を暫定的に作成した。また,応答態度に問題があると考えられる対象者を分析時に除外するため,「この項目では,必ず3にチェックを入れてください」といったダミー項目を3項目加えた。以上の計69項目について,“全くない(1点)”,“1〜2度あった(2点)”,“何度もあった(3点)”の3件法で回答を求めた。分析対象者:3つのダミー項目のうち1問でもダミー項目の指示とは異なる回答を行った者は応答態度に問題があると判断し,139名を分析から除外した。残った391名(男性168名,女性223名)を分析対象とした。平均年齢は25.20歳(SD=2.93)であった。調査方法:2014年11月に,Web上で調査が実施された。調査の実施はNTTコムオンライン(株)によって行われた。
結 果 と 考 察
心理的暴力被害経験尺度66項目について,因子分析(主因子法・プロマックス回転)を行った。1つの因子に.40以上で負荷し,かつ複数の因子に負荷していないという基準で検討した結果,30項目が削除された。残りの36項目を用い,同様の方法で因子分析を行った結果,9因子解が最もまとまりがよく,適切と判断された。初期の固有値は10.963〜1.048で,累積寄与率は66.321%であった。各因子において負荷量が高かった3項目までを抜粋し,Table1に示した(第8因子と第9因子は,それぞれ2項目から構成された)。心理的暴力被害経験は,無視されたり不機嫌な態度をとられたりする“不機嫌・拒否”,からかわれたりバカにされたりする“見下し”といったやや軽微なものから,部屋に閉じ込められたり監視されたりする“外界からの遮断・監視”,「別れるなら自殺する」と脅される“脅迫”といった重篤なものまで,多様な深刻度の因子から構成されることが示された。また,各因子のα係数を算出した結果,尺度の信頼性は概ね確認されたものの,第9因子のα係数はやや低いことが明らかとなった。今後は,尺度の項目内容についてさらに吟味する必要があると考えられる。さらに,身体的暴力や性的暴力の被害経験についても包括的にとらえる尺度を作成し,それらと心理的暴力被害経験との関連について検討する必要もあるだろう。
引用文献:伊田広幸(2015).デートDV・ストーカー対策のネクストステージ 解放出版社;寺島瞳他(2013).大学生におけるデートDVの実態の把握 筑波大学心理学研究, 45, 113-120.;宇井美代子他(2014).デートDVの実態の検討(9) 日本心理学会第78回大会発表論文集,1260.

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