発表詳細

一般研究発表(ポスター)

 
3. 社会,文化
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日程
2014年9月11日(木)
時間
15:30 - 17:30
会場
RY205第1ポスター会場
 
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多次元オープナー尺度の検討-コミュニケーション参与スタイル、他者発言頻度との関連-

発表番号 : 2EV-1-029

【責任発表者・登壇者】
鎌田 真緒:1 
【連名発表者・登壇者】
岡本 卓也:1

1:信州大学

 

問 題
オープナー(opener)とは、他者から自己開示を引き出しやすい人のことである(Miller & Archer, 1983)。心理的抵抗を感じさせずに、開示をうまく引き出すことのできるオープナーは、開示者にとって重要な役割を持っているといえる。先行研究では、オープナー特性が高い人は、開示者のメンタルヘルスを良好にし、開示者から好かれることが示されている(越,2009 ; Miller,1983)。既存のオープナースケール(Miller & Archer, 1983; 小口,1989)は、オープナー特性を高低で捉える一次元的な尺度である。一方で、対話相手の視線量やうなずきの頻度が発言量に影響を与える(大坊, 1987; Siegman, 1987)ことからも、オープナーは、特性の側面からだけでなくスキルの面からも検討されるべきであろう。Kamata, Okamoto, & Kosugi (2014)は、オープナーを包括的に測定する尺度を作成し、“ユーモア”,“他者配慮”,“秘密厳守”,“うなずき”,“笑顔”,“視線”,“非会話阻害”の因子から構成されることを確認している。それでは、オープナーのどのような側面が相手の開示を引き出しているのだろうか。本研究では、初対面の者が対話する実験場面を撮影し、会話相手の発言量とオープナー尺度との関連を検討する。
また、オープナー尺度とコミュニケーション参与スタイルとの関連についても検討する。藤本(2008)は、会話者が普段どのように会話に参与しているかという参与傾向を、コミュニケーション参与スタイルとした。これは、「する-しない」のコミュニケーションに対するモチベーションに着目した概念である。自己開示を促す要因としては、スキルや特性だけでなくモチベーションも関与しているといえるだろう。

方 法
[調査1(質問紙調査)]大学生143名(男性40名,女性103名)を対象に質問紙調査を行った。[分析に用いた尺度]1)オープナー尺度(25項目、5件法)。2)コミュニケーション参与スタイル:藤本(2008)のコミュニケーションの参与スタイルを測定する尺度COMPASS(16項目、7件法。能動型参与、消極型参与、受動型参与、マネジメント型参与)。[調査2(実験室実験)]大学生18名に星野(2003)のサバイバル課題を解かせた。この課題は、3人1組のグループの中で自分の考えを述べて、グループの回答を一つにまとめるものである。話し合いの様子をビデオで撮影し藤本(2012)の会話のコーディングシステムに従い、発言頻度をコーディングした。

結 果
調査1で得られたオープナー尺度得点を因子分析した結果、6因子が抽出された。先行研究の“ユーモア”と“他者配慮”の項目が一つの因子になったため“雰囲気づくり”と命名した。コミュニケーション参与スタイル得点を因子分析した結果、“消極型参与”と“能動型参与”が1因子にまとまり、3因子構造となった。オープナー尺度得点とコミュニケーション参与スタイルの相関を表1に示した。受動型参与と、秘密厳守、うなずき、視線、非会話阻害、笑顔において正の相関が認められた(rs =.18~.50, p <.10)。マネジメント型参与と、雰囲気づくり、視線、非会話阻害、笑顔と有意な相関が認められた(rs =.20~.44, p <.10)。また、能動型参与は、雰囲気づくり、秘密厳守、視線、非会話阻害と有意な相関が認められた(rs =.23~.37, p <.05)。

実験での発言頻度をコーディングし、参加者以外の二人の参加者の発言頻度を足したものを、他者発言頻度とした。オープナー尺度得点と他者発言頻度の相関を表2に示した。雰囲気づくり、秘密厳守、笑顔において他者発言頻度と正の相関が認められた(rs =.40~.47,p <.10)。

考 察
 調査1の結果、会話に対してマネジメント型の参与をする人は、会話がうまくまわるように雰囲気づくりを行うが、その反面、相手の会話を遮るような行動もしていることが示唆された。また、会話に対して受動型の参与をする人は、にこやかにうなずきながら相手の話を聞き、話を遮るようなことはしないと考えられる。
調査2の結果、笑顔因子が他者発言頻度と有意な正の相関を示した。大薗ら(2010)の研究では、真顔よりも笑顔において信頼されることが明らかになっている。有意傾向であった、雰囲気づくりや秘密厳守はKamata,. et al.(2014)において、誠実性と正の相関が認められており、相手からの信頼に繋がっていると考えられる。初対面の相手に対しては、信頼されることによって、相手の開示を引き出しているといえるだろう。しかし、今回の実験は、初対面者同士の問題解決型課題であったため、コミュニケーションにおいて、特に信頼性が機能していた可能性がある。

主要引用文献
Kamata, M., Okamoto, T., & Kosugi, K. (2014). Scaling for individual relations and Visualizing small group process (1)-Development of a new, multidimensional opener scale -. The 28th International Congress of Applied Psychology.

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