演題詳細

ミニオーラル

 
[P-149] ミニオーラル149:大腸:虫垂 4 他
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日程
2014年7月18日(金)
時間
13:30 - 14:20
会場
ブースE (郡山総合体育館 1階 小体育館)
座長・司会
座長)土井 孝志:1
1:白河厚生総合病院外科
 
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急性虫垂炎に上腸管膜静脈血栓症を合併したプロテインCおよびS欠乏症の1例

演題番号 : P-149-4

津田 一郎:1 戸井 博史:1、林 俊治:1、中村 貴久:1、長谷 泰司:1

1:恵み野病院 外科

 

【緒言】上腸間膜静脈(以下SMV)血栓症は比較的稀で,臨床症状は無症状から腸管壊死を起こし重篤化するものまである.今回急性虫垂炎に合併したSMV血栓症を経験したので報告する.
【症例】患者は37歳,女性.2日続く下腹部痛を主訴に受診した.右下腹部に圧痛を指摘,白血球数26620/μl,CRP7.87mg/dlと上昇していた.腹部造影CT検査では虫垂の腫大,SMV内の透亮像,10cm大の骨盤内腫瘤を認めた.急性虫垂炎,SMV血栓症,卵巣腫瘍を診断した.急性虫垂炎による腹痛症状が強くまず虫垂切除術を施行した.虫垂には一部壊疽を認め,周囲に膿性腹水を少量認めた.病理組織検査では膿瘍形成と虫垂壁構造の炎症による消失を認め,acute gangrenous appendicitisを診断された.SMV血栓症に対しては腸管壊死を伴わないため保存的治療として,術直後からヘパリンによる抗凝固療法を開始した.さらに術後2日目からワーファリンカリウムを開始した.術後3日目にMRI検査でSMV血栓の縮小を確認した.術後5日目にGOT68IU/l,GPT80IU/lと軽度の肝機能障害を認めたが,発熱腹痛などなく無症状であった.術後8日目に造影CT検査を施行するとSMVに血栓は認めなかったが,門脈前区域枝の血栓像と肝前区域の造影低下を認めた.血栓がSMVから肝内門脈へ血流により移動したものと判断した.無症状のまま経過し肝機能障害も改善傾向なので,術後9日目にPT-INR2.75にてワーファリンカリウムの十分な抗凝固療法を継続したまま退院した.血液凝固系を術後精査するとプロテインC活性10%以下,プロテインS抗原量23%と低下を認めた.術後29日目に他院婦人科で卵巣腫瘍を切除したが子宮筋腫と診断された.術後71日目に造影CT検査を施行すると門脈血栓は消失していた.術後3ヶ月経過した現在,血栓の再発なく経過観察中である.
【考察】虫垂炎を起因とした門脈・SMV血栓は本邦では10例の報告があるのみで非常に稀である.本症例では高度な炎症を伴う虫垂炎がSMVに血栓形成を起こしやすい状況を作ったこと,プロテインC,プロテインS欠乏症により血栓症の素因があったことが重なりSMV血栓症が発生したと推定される.SMV血栓症において抗凝固療法で血栓が縮小しても軽度の肝機能障害を認めた場合,血栓が移動し門脈分枝を塞栓する場合があり,画像で確認を要する.
【結語】プロテインCおよびプロテインS欠乏症を背景に急性壊疽性虫垂炎からSMV血栓症を合併した1例を経験した.

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