演題詳細

教育講演

教育講演1:胆道癌への外科の挑戦:その軌跡と次世代へのメッセージ

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日程
2013年7月17日(水)
時間
11:00 - 11:50
会場
第1会場 シーガイアコンベンションセンター 4階 天瑞
座長・司会
司会)加藤 紘之:1
1:KKR札幌医療センター斗南病院外科
 
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胆道癌への外科の挑戦:その軌跡と次世代へのメッセージ

演題番号 : EL-1-1

二村 雄次:1

1:愛知県がんセンター 名誉総長

 

胆道癌のうち手術困難な肝門部胆管癌および胆囊癌に対する根治切除のチャレンジは奇しくも1954年にBrownの右開胸開腹による肝門部胆管切除・再建,Glennのradical cholecystectomyにより始まった.更に翌1955年Packは進行胆囊癌にリンパ節郭清を伴う肝右3区域切除に成功している.肝門部胆管癌に対する肝葉切除を伴う胆管切除は1960年代に主に米国で行われた.門脈合併切除を伴う肝葉切除の世界初成功例は癌研の梶谷により1965年に行われたが,その後は肝動脈合併切除例も含めて1980年代以降主にわが国からの報告例が漸次増加した.そして術前画像診断技術の急速な進歩により精密かつ拡大根治手術が行われるようになり,癌の肝内区域胆管枝への進展度に応じた様々な肝区域切除による根治手術術式が確立した.更に2010年門脈・肝動脈の同時合併切除再建の良好な手術成績が名古屋大学から報告されるに至った.
一方,胆囊癌に対しては局所進展に応じて各種の肝切除,即ち胆囊床切除,S4a・5切除,肝中央2区域切除,拡大右葉切除,右3区域切除など様々な手術術式が用いられるようになった.その他,肝外胆管の合併切除や膵頭十二指腸切除(PD)の適応の是非についての後向きの研究も主にわが国で行われてきた.局所超進行胆道癌に対する肝膵十二指腸切除の手術成績は主にわが国から発信されてきたが,最近では手術成績は安定し,胆管癌では良好な予後が期待できることが判明した.
膵頭部癌に対するPDの際の拡大リンパ節郭清の意義に関しては既にRCTが行われて拡大リンパ節郭清は予後の改善に貢献しないことが明らかとなった.この研究ではわが国は西欧に遅れを取った.一方,リンパ節転移を伴う胆道癌切除後の予後は不良である.ところが胆道癌に対する拡大リンパ節郭清の意義についてのRCTは未だ計画されていない.
胆道外科の進歩に日本の胆道外科医が世界をリードしてきた貢献度は高い.しかし,胆囊癌に対する肝切除範囲,肝外胆管合併切除,PDの是非に関する前向き試験は未だ行われていない.胆道癌に対する拡大リンパ節郭清の意義についてのRCTなど未決着の課題がまだ多く残されている.科学的な研究法を立案して,じっくり時間をかけて正確な研究成果を出すことを次世代の胆道外科医へのお願いのメッセージとして送りたい.

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